先月このHPブログに「その1」で、好調な業績を背景に東証1部上場企業の平成27年3月期決算の配当金総額が初めて10兆円を超えたとの報道があったことをご紹介しました。
しかし、企業で働く人の賃金水準は昭和年代の様には上昇せず低迷しています。このように企業の利益配分が労働よりも資本に対しより向けられているのは、海外生産や生産工程の自動化が進み以前のように労働力が企業活動の決定要因(=制約要因)ではなくなってきているからだとの説明が妥当するようです。(表1参照)
また企業側も機関投資家等の意向を踏まえ、決算利益から配当金を支払う割合(=配当性向)を引上げることを公式発表する例が増加し、それによって株価の上昇→ 時価総額の増加を期待しています。
すると個人の資金運用も、安全性重視の低金利の預金から企業を自分の目で良く選別して、企業資本(=株式)へ長期投資して配当金を受取る方が今の社会の変化にあった方向だと言えるでしょう。
これらの現象は大きな目でみると、今の状態は戦後長く続いてきた成長経済から定常経済へのシフト過程にあることのサインでもあると言えます。(表2参照)
(表1)
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H17年 |
H19年 |
H21年 |
H23年 |
H25年 |
H27年 |
東証1部3月決算:配当金総額(兆円) |
3.8 |
5.9 |
5.6 |
5.5 |
6.0 |
10.0 |
“ :経常利益 (除く金融,兆円) |
32.5 |
37.0 |
17.5 |
26.5 |
23.5 |
33.5 |
男性労働者:賃金月額-前年比(%) |
+1.2 |
△0.3 |
△2.1 |
0.0 |
△0.3 |
― |
(表2)
成長経済 |
最大限の資源+エネルギー投入により経済規模を拡大し、完全雇用と生活水準向上を達成する 経済活動より受けるメリットが経済活動で発生するコストや排出物を上回る |
定常経済 |
経済規模の物理的拡大は資源枯渇+エネルギー価格上昇・温暖化ガス等のマイナスがプラスを上回る 海外生産や自動化が進み労働力よりも有限の資源とエネルギーで経済活動を行う技術が求められる |
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