投資のために企業選びをする際の基準は、①安全性 ②収益力 ③将来性/成長力 が主な要素で、①安全性 は決算データ中のB/S(貸借対照表)で ②収益力 はP/L(損益計算書)の数字で見ることができますが、③将来性/成長力 は売上高や利益の数字の伸びよりも、決算数字に表れていない会社が持っている将来的な技術やマーケット拡大等の可能性要素による部分が重要で各投資家の主観的な判断に差がでる部分です。
しかし会社が決算発表時に公表する決算短信1ページ最下段の「業績予想」の数字や、説明資料中の「業績予想に関する説明」内容は会社の各事業部門毎の予想数字やその説明がある企業もあり参考情報として重要です。
そこで具体的に売上高1兆円台後半の2社の下記比較表で ①収益力 ②安全性 をP/L・ B/Sで見ると
売上高の推移はほぼ同じですが、営業の収益力を示す営業利益の推移に違いがあり、営業利益率は商船0.9%、旭化成7.9% と業種の違いがあるとしても投資先としてみた場合―収益力の差が目立ちます。
次に今決算を基準に負債である社債+借入金=D と純資産である資本金+剰余金=E を次表で比較すると
会社名 |
売上高S |
社債+借入金=D |
資本金+剰余金=E |
D÷E |
D÷S |
商船三井 |
1,817 |
1,152 |
642 |
1.79 |
0.63 |
旭化成 |
1,986 |
266 |
881 |
0.30 |
0.13 |
旭化成は社債+借入金が減少し財務面の改善が進んでいる一方、商船三井は増加しており返済負担/金利負担が多く、金利上昇リスクが旭化成よりも高いと言えます。
売上高1兆円台後半の2社 2015/3月期連結決算比較表 (単位:10億円、1株配当金、5/21終値)
会社名・証券コード |
商船三井 9104 7.0円 @406 |
旭化成 3407 19.0円 @1,120 |
|||||
決算期 |
2013/3 |
2014/3 |
2015/3 |
2013/3 |
2014/3 |
2015/3 |
|
P/L |
売上高S |
1,509 |
1,729 |
1,817 |
1,666 |
1,897 |
1,986 |
営業利益 |
△15 |
41 |
17 |
91 |
143 |
157 |
|
税引利益 |
△178 |
57 |
42 |
53 |
101 |
105 |
|
B/S |
総資産A |
2,164 |
2,364 |
2,624 |
1,800 |
1,915 |
2,014 |
資本金E1 |
65 |
65 |
65 |
103 |
103 |
103 |
|
剰余金E2 |
492 |
547 |
577 |
632 |
714 |
778 |
|
社債+借入金D |
1,024 |
1,070 |
1,152 |
304 |
289 |
266 |
|
|
従業員数 |
|
10千人 |
|
|
29千人 |
|
決算データのコメント |
営業利益率%:商船0.9、旭化成7.9 D÷E: 商船1.79、旭化成0.30 |
次期決算の業績予想(単位:10億円、両社発表の決算短信より)
会社名 |
|
売上高 |
営業利益 |
税引利益 |
商船三井 |
2015/3実績 |
1,817 |
17 |
42 |
2016/3予想 |
1,820 |
32 |
43 |
|
旭化成 |
2015/3実績 |
1,986 |
157 |
105 |
2016/3予想 |
2,000 |
164 |
106 |
両社とも次期決算では若干の増収・増益 と予想しており、旭化成は1円増配と予想を出しています。
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